◆アトピー性皮膚炎におすすめする漢方薬
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症状 |
温まったりお風呂に入ると悪化する皮膚炎、赤くかゆみが強く、掻き壊すとジクジクするタイプ。 |
病証 |
湿熱証 |
処方 |
このタイプの方のアトピー性皮膚炎は、全身に赤みがありかゆみ強い、所々にジクジクした湿疹があり、夜布団に入ったりお風呂に入ったりして体が温まるとかゆみが増してきます。掻くと表面の乾燥した皮膚がはがれ粉のようにぼろぼろと落ちてくることや、ジクジクしたところから黄色い浸出液などが出て下着を汚したりします。季節的に春から夏にかけて気温が
上昇したり梅雨時のように湿度が増すと悪化します。
全身症状として疲れやすい、むくみやすい、暑がりで冷たいものが好き、便秘がち、などの特徴があります。
漢方的に湿熱というタイプの診断の場合、上半身に症状が強く出ている場合は黄連解毒湯を、下半身に症状が強い時は龍胆瀉肝湯が主に使用されます。 |
症状 |
体のあちこちに湿疹が出たり入ったりする、上半身や顔にできやすく、赤くかゆみも強い、皮膚炎がないときもある。 |
病証 |
風湿熱証 |
処方 |
風湿熱証タイプの人は、いつも湿疹が出ているわけではなく、お酒を飲みすぎるとか季節の変わり目などに、いろんな場所に湿疹がでたり引っ込んだりします。顔や上半身にでやすく、主な症状は上記の湿熱証と同じ症状が出ます。
このタイプには消風散が適します、体質改善を目的として比較的長期に使用します。
大きい湿疹が化膿し、寒がりで季節の変わり目にボツボツと体にできる、体調のよいときはあまりでない、脂っこいものや、甘いものが好きなタイプには十味敗毒湯が適します。この漢方薬も体質改善に使うことが多く、寒冷蕁麻疹などにも応用されています。
★アトピー性皮膚炎によい漢方軟膏
ステロイド軟膏や抗生物質軟膏に比べ、副作用が少なく安全です。
(1)紫雲膏
皮膚がカサカサして潤いがなく、熱感がありかきこわしているような湿疹に使用します。赤紫色が強いので衣服に付着しないように使用します。痔や床ずれにも多く使われます。
あまり進んでいない症状に、また乾燥肌の方にも適します。
(2)太乙膏
アトピーが治りきらない、繰り返しでてくる、ステロイドの使用量を減らしたい、などの目的で頻用される代表的な漢方軟膏です。当薬局ではアトピー性皮膚炎用の軟膏としては1番の使用量となっており、特に赤みや、かゆみが強いアトピー性皮膚炎の方に使用して頂き非常によい結果が出ています。市販されているタオツコウとは中身が異なります。
アトピーの根本養生にご利用ください。
(3)中黄膏
体全体に熱感があり赤み、かゆみが強いときに使用します、熱を冷ます作用が強く打撲などにも応用されます。 |
症状 |
温まるとかゆみが増す、のどが乾き乾燥しやすく、便秘がち、皮膚が乾燥してザラザラ。 |
病証 |
燥熱証 |
処方 |
このタイプは、上段の湿熱証に似た症状で判断に苦慮しますがすが、湿熱証に比べて乾燥が強くジクジクしていません。皮膚に割れ目ができたり、粉を噴くようになりやすいがしめった感じがない。
このような症状が燥熱証タイプのアトピー性皮膚炎の特長です。
特に体に灼熱感を感じるほど暑がりで、夏などは冷たい物をがぶ飲みしなくてはいけないような体質のひとには白虎湯が適します。
また皮膚が乾燥タイプで鼻血が出やすい、生理の量が多い、掻くとすぐに血がにじんでくる、のぼせやすくイライラする、いつも不満が絶えないような人には、温清飲という処方に血液の濁りを取る作用のある牡丹皮と赤く熱した症状を緩和する石膏を加えた温清飲加牡丹皮石膏などが適します。
温清飲は皮膚病によく使用されますが、血液の濁りがある場合は温清飲加牡丹皮石膏等の処方のように、血液をきれいにする効果のある処方と合方されます。体質により多くの組み合わせがありますから必ず専門家にご相談ください。
アトピー性皮膚炎は、体質をしっかりと合わせた漢方を使用しないとなかなか効果が出てきません。また体質のあった漢方を使用したときの効果は顕著なものがあります。 |
症状 |
便秘気味、寝汗をかく、手足が火照る、肌が地割れのようにがさがさして割れてくる。 |
病証 |
陰虚証 |
処方 |
陰虚証というのは、簡単に言えば、体のクーラー部分が壊れてしまった状態のことです。エネルギーの備蓄部分の失調により、活動的な部分のみが目立ってくることをいいます。当然からだがほてってきたり、疲れがたまってきたり、また疲れているのに不思議と気力だけがあるように感じてしまいます。
それに加えてアトピーがあるわけですから、身体活動や精神活動が盛んになるにつれて皮膚症状も悪化してきます。比較的少ない例ですが、このような場合は滋陰降火湯で体の陰的な部分の失調を調節します。また老人等で不眠が続いたり体力不足がある場合で火照りが強い場合は知柏地黄丸という処方を用います。 |
症状 |
お酒やビールを飲みすぎたり、水分をとりすぎると、皮膚症状が悪くなる。 |
病証 |
脾虚証 |
処方 |
胃腸が弱く、食べるとすぐ下痢気味になったりお酒やビールを飲みすぎると、皮膚症状が悪くなる、このような体質は、漢方では脾虚証と総称しています。
赤みが少なく熱感もあまりありません。どちらかといえば黒ずんでいる。
根本は消化器官の不具合から発生したアトピー性皮膚炎のためこのタイプには胃苓湯を使用します。
体がだるく気力がない、みぞおちに不快な感じを伴うことも特長です。このタイプでかゆみが特に強い場合は平胃散に黄連解毒湯等の体の表面の熱感をとる薬を合方して使用します。消化器系統を中心に治療して良い結果が出る場合も多くありますから、よくご相談ください。 |
症状 |
皮膚のかゆみは慢性で、乾燥するとかゆみが増す、貧血気味で、めまい立ちくらみなどを起こしやすいタイプ。 |
病証 |
血虚証 |
処方 |
貧血気味で、めまい立ちくらみなどを起こしやすく肌が乾燥して、赤みはあまりないがかゆみがある。季節の変わり目や疲れたときなど湿疹を繰り返す、顔色が悪い、などの症状がある場合は当帰飲子という漢方薬を用います。
高齢者や貧血症状が強い方の乾燥性皮膚炎によく使用される漢方薬です。少し服用期間を長くして体質改善にも使用されます。 |
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