◆手のあかぎれ、全身の湿疹、熱感を伴った強いかゆみ
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40歳代女性 |
手のあかぎれ、全身の湿疹、熱感を伴った強いかゆみ |
皮膚-12 |
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◆症状と経過
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皮膚は乾燥が強く、あかぎれが目立つ。温まるとかゆみが強くなり、水疱ができてくる。
水疱がやぶれると膿がでてくる。体質は暑がりで汗をよくかく。
便秘傾向でホットフラッシュにも悩まされている。
眠りが浅く、疲れやすい。
食事は朝食をとらず、昼食はコンビニで買ったものがほとんど。
タバコを1日10本吸う。 |
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◆使用処方と考察
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東洋医学は血(けつ)が不足すると皮膚の潤いがなくなり乾燥する。また血が不足することで熱を抑えられなくなってくる。腸管の潤いがなくなることで便が硬くなり便秘になりやすくなります。
今回の症例で、患者さんの特徴のある症状として、皮膚の乾燥、暑がり、ホットフラッシュ、便秘などの症状から、血の力不足、すなわち血虚であると考えられる。
東洋医学でいうところの血は単に血液のみをさすのではなく、物質の材料とみなすことができる。きれいな皮膚を再生するためにも材料である血の補充は必須であると考えた。
補血の基本薬である四物湯に清熱作用をもつ黄連解毒湯、さらに水疱から膿がでるため排膿のための桔梗、ストレス緩和のための柴胡、薄荷を含む柴胡清肝湯を処方した。
眠りが浅い、疲れやすいなどの症状は気の不足(気虚)と考え四君子湯も合方として処方した。
食事の面では朝食はとらず、昼食もコンビニで済ませてしまっているので、いい皮膚を作るための栄養素が不足していることも考えられる。特に必須アミノ酸や亜鉛など微量元素、ビタミンなど豊富に含んでいる、バランスターWZをおすすめさせていただいた。
喫煙も血流を悪化させ、酸化ストレスを発生させるため減らしていただくよう指導した。
特に寝る前の喫煙は深い睡眠を妨げてしまうので、夜の喫煙をやめていただいた。
漢方薬の服用と夜の喫煙をやめていただいて、1か月後、乾燥、かゆみはまだあるが、以前より眠りが深くなりだるさがとれた。ホットフラッシュもなくなったと喜んでいた。
3か月後にはかゆみが強くなることは時々あるが、強いかゆみがでる頻度は確実に減っていて、爪もきれいになってきたとのこと。爪がきれいになってきたのは血虚が改善してきていると考えられる。今も同じ漢方薬を継続中である。 |
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