◆入浴後や暖まると全身に細かい湿疹が出る、子供の頃からのアトピー性皮膚炎
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10歳代女性 |
入浴後や暖まると全身に細かい湿疹が出る、子供の頃からのアトピー性皮膚炎。 |
皮膚-08 |
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◆症状と経過
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高校3年生(女子)、子供の頃からアトピー性皮膚炎の診断を受け、通院中。
2週間ほど前に蕁麻疹様の湿疹が出て近隣の皮膚科を受診し、セルテクト錠30、2T、2x朝夕と、エバステル錠10、1T1X寝る前、の投薬を受け、服用したが全く効果がなかったため、お母さんと一緒に相談に見える。
望診の結果、アトピー性皮膚炎に特徴的な乾燥性肌や、腕などの間接内側の湿疹などは確認できなかった。
肌は比較的きれいな状態、運動をしたり、入浴後などに全身のあちこちに細かいブツブツが出るそうで、(診断時は出ていない)寒いところにいると湿疹が治まる。
便秘症である。暖かいところや人混みが嫌い、のぼせて鼻血が出るほどにはならいがとにかく混雑したりムンムンしている場所は嫌い。
お母さんの方から、漢方で体質を改善させたいとのご希望あり。
幼稚園の頃から、アトピー性皮膚炎で通院していたとのお話で、強い便秘症がある。
汗は普通、尿量や回数も普通、食欲は十分にある、お腹の張ることもなし、夜もよく眠れる、夜間痒くて眠れないと言うことはない。 |
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◆使用処方と考察
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舌診にて、強い歯形を確認、舌苔は白くべったりとついている、貧血症状はない、生理も定期的で舌裏静脈の怒張はない、のぼせやすい体質で暖かいところが嫌い、熱証で痰飲、脾気虚と判断する。
甘いもの、食べ過ぎはしないように特に学校帰りの間食はさけるようにして、当初六君子湯合黄蓮解毒湯加大黄の組み合わせを服用して頂いた。
3ヶ月後、来店され舌診にて、歯形はほとんど無くなっており白苔も通常の薄い白苔となっていたが、肝心の湿疹は、以前に比べひどく痒いと言うことはなくなり少し改善しきたように思うが、まだ完全には治らないとのこと。消風散加陳皮半夏+大黄の処方に変更。
2ヶ月後に完治、便通が良くなるに従いだんだんと痒いことがなくなってきたとのお話。その後再発は無し。煎じ薬も中止とする。
消風散は、構成薬物に蝉の抜け殻などが入っており、何年か前は原型をそのままを使用していたため、抜け殻の足の部分が指に突き刺さり痛い思いを味わったことがある。最近はメーカーで刻んだものを使用している。
消風散は風湿熱の皮疹に対してのファーストチョイスの処方。
日本で市販されている錠剤などの説明で、湿疹がありじゅくじゅくした感じのものによいとされているが、風湿熱を確認した段階で比較的その部分が乾燥傾向の湿疹に使用しても十分に効果が期待できる、特に滲出型の場合は通常の薬物構成に、車前子、滑石、茯苓、沢寫、防已、ヨクイニンなどを症状により加味するとより効果的になってきます、このケースの場合、痰飲、脾気虚等の症状が改善された後で消風散を使用したため非常に短い服用期間で改善したものと判断します。
逆に、寒冷の刺激で悪化し、湿疹も白く熱感のない場合で、風寒証の時は桂麻各半湯を使用しますが、20歳未満の場合は当薬局ではほとんどが診断後に風熱証となることが多く、若い人たちに対して桂麻各半湯はあまり使用がありません。これについては陰陽のバランスが関係しているものと推察します。また年齢的に若い方もしくは老人について、多くは慢性的となり初期治療の時期に漢方薬局を訪れることが少なく、虚熱を伴う場合が多くあるからです。 |
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