◆寒くなると湿疹、、お風呂にはいると細かい湿疹、20年以上症状を繰り返す
|
60歳代女性 |
寒くなると湿疹、、お風呂にはいると細かい湿疹、20年以上症状を繰り返す。 |
皮膚-05 |
|
|
◆症状と経過
|
60歳代の女性で20年以上湿疹がでるとのこと。あちこちの皮膚科に通院したが完治せず、毎年冬になり寒くなると湿疹が出だす、お風呂に入ったときや暖まったときなど体全体に細かい湿疹が出てかゆくてたまらない状態。運動をした後もかゆみが出てくるが、体がさめてくると自然に治ってくる、夏はあまりこの症状がひどくない。
汗は普通、青みの魚を食べてからこの症状が始まった、医者には蕁麻疹だといわれている、体質は暑がりで冬の方が過ごしやすい、冬になると体がほてる、仕事をしていても暖まるとかゆい、足と体がほてる、便通は毎日、とにかく暑くなると症状が出る。
冬季の睡眠時も電気毛布は嫌い。血圧普通、下痢はしていない、尿量は普通、回数が多く2から3時間に1回くらい、夜間排尿もある、手足は冬になるとがさがさになる、首から下に汗を良くかく、寒くなると若いときのリウマチが出るのか正座ができない。 |
|
◆使用処方と考察
|
よく言われる、寒冷蕁麻疹の病態を示している。
長年皮膚科にかよって、抗アレルギー剤などの投薬を受けてその場しのぎで治療しているが、体質的に治っていないので、症状を繰り返し再発している、そのためこのような方は皮膚科を転々と変えあちこちの大学病院まで行くケースがよく見られる。、
舌診は、舌質舌色が淡白で白苔がある、舌裏静脈の怒張なし、医者には貧血はないといわれている、最近心臓がどきどきするとのこと。
体質からみると、熱証で栄養不足による乾燥が原因の湿疹、西洋医学的には貧血がないといわれているが、眼をひっくり返して(アッカンベーの形)みると真っ白で、血虚有り、(補血作用が必要)当帰飲子にのぼせ等に対処するため黄連解毒湯+四物湯を合方して処方する。
当帰飲子にはすでに、四物湯が配合されているので、その部分を増量した形。
この薬は煎じたものを冷やして服用するように指示する。服薬を開始して2週間ほどしてほとんどのぼせ症状は消え、湿疹も嘘のように出なくなったとのこと、ずいぶん感謝されたが、補血剤を多く処方することにより上手に対処できた例である。
1ヶ月分の処方で、ほとんど完治し、少し煎じ薬が余ってしまったと訪問時にお話しされていた。
皮膚科に通う手間がなくなり何十年もの疾患がほんの1ヶ月くらいでがらりと良くなる例を何度も経験するが、体質があった場合、漢方は西洋医学以上の効き目を発揮するときがある。
このケースの場合、貧血が大きな要因となっていたことがわかる、食事は鉄分を多く含んだものを積極的にとるようにすすめ、本人もそのことをよく理解された。
鉄は比較的からだからなくなりにくいミネラルであるが、女性では表面に出ている症状の陰に血虚が隠れていることが多い、四物湯は基本的な処方であるがうまく使うと非常に切れ味の良い処方となる。 |
|
|