◆冷えから来る、慢性の難治性頭痛、市販の頭痛薬が全く効かない
|
20歳代女性 |
除雪作業などで冷えると頭痛がひどく気持ち悪い。 |
婦人-07 |
|
|
◆症状と経過
|
市販の頭痛薬を服用していたが無効のため相談。
降雪が多く除雪作業をしていたら頭痛が悪化。肩こりもひどくなる。
風呂などで温まると少し楽になる。職場は暖房が弱く、ずっと寒い環境。
朝7時ころ出勤し、18時まで就労。頭痛は1日通してある。
頭痛の悪化に伴い吐き気もでる。嘔吐することはない。
体調が悪いと食欲がなくなってしまう。
市販の痛み止めを飲むと気持ち悪くなる。
朝食をとらないことが多いい。
日中体がだるい。皮膚の乾燥、目の疲れあり。
舌診:胖大舌、歯痕あり。薄白苔 |
|
◆使用処方と考察
|
除雪作業、職場の寒い環境に長時間さらされることで痰湿が停滞し、肩や頭が痛くなっていると考えられる例であり。寒湿痺が頭痛の主要因となっている。
痰湿が脾胃に停滞することで吐き気、食欲低下の症状も現れる。
また脾気虚があるため痰湿が各所に停滞しているとも考えられ、除雪作業による強い負荷によって陰血を消耗し、皮膚や目の乾燥の症状も見られる。
処方は五積散加紅参(茯苓、白朮、陳皮、半夏、当帰、芍薬、川キュウ、厚朴、白止、枳実、桔梗、乾姜、桂皮、麻黄、大棗、甘草、紅参)を選択した。
通常の五積散では、不足部分があるため、陽気を補いことを目的に五積散をバージョンアップした形になっている。
五積散の中身についての説明です。
紅参、白朮、茯苓、甘草、大棗、乾姜、陳皮、半夏は六君子湯で脾気を補い、痰湿を取り除き。
茯苓、白朮、紅参、乾姜、陳皮、枳実は茯苓飲で降気し吐き気を押さえる。
紅参、乾姜、白朮、甘草は人参湯で裏寒を温める。桂皮、麻黄、乾姜、大棗、甘草は外寒に対する辛温解表薬。
当帰、芍薬、川キュウは陰血を補うように働きます。
この方の場合は、外寒の影響を受けやすく、それが強く体調に反映するというタイプのため、薬局製剤の五積散(煎じ)に紅参や乾姜などの加減をして服用していただきました。
特に寒い冬期間などは、服用すると体の温まり方がよく感じることが多くとのこと、2から3ヶ月のスパンで継続の服用を勧めています。
なお、このタイプの方で顆粒をご希望の場合は、五積散を基本処方に、紅参原末や、苓姜朮甘湯、腎陽虚があれば八味地黄丸。附子末などを適宜併用することにより、難治性の頭痛に対応が可能となります。 |
|
|