漢名は山椒、漢方では蜀椒という。別に朝倉山椒といい、トゲのない葉の大きいものがある。薬用にはこれを使う。山林に自生する落葉灌木で、二〜三m。葉は奇数羽状複葉、うすくて光沢がある。互生で不揃ろいの鋸歯あり、葉腋に一対のトゲあり、雌雄異株。花は黄緑色、初夏の頃葉とともに小さな花をつずり開く。果実はまろい刮ハである。芳香、辛味がある。
「薬用部と利用法」 果実をとり乾燥する。漢方では大健中湯、小健中湯などに入れて補温強壮剤にする。また、単味煎じて虫下しにする。屠蘇には果皮を使い、目ぼしには種子を手に持ち、右の眼ならば左の手でそのめぼしの数だけ何粒かをのむ、という民間療法があった。皮を佃煮とし蛔虫駆除に毎日たべる。栃木県では、これを辛皮といい、常用する。若芽はキノメといい、田楽に添え使用する。この樹、古くなると樹皮にコブの如きものがたくさんできて風雅となり芳香あるが故に、枕にしたり、またその細きもは、すりこぎとする。 |