■キハダ(へんるうだ科)
 漢名は黄栢、あるいは黄檗。山地に自生する落葉喬木で、高さは十mにもなる。品種はいろいろある。幹の外皮は灰色。葉は羽状複葉で六〜七枚のだえん形の先きの尖った小葉から成り、ギザギザあり、緑毛がついている。葉の裏が白色で、夏季に黄色の小花も開く。秋に黒い果実がなる。

「薬用部と利用法」
 幹に水分の多い六〜七月頃、樹皮を?いでこれをこれを日干する。実際には木を切り倒した時に?ぐので冬の場合のあるが、その時は作業に手間がかかる。表層(コルク層)はとりてキルクに用いた。中皮を薬用とするわけでこれを粉末としたり、或は煎じて煮つめ、エキスとする。お百草、だらにすけ、即ちこれである。胃腸薬、腹痛薬の原料として大量の需要がある。北海道ではシコロという材を家具や茶器、装飾備品などとする。生育の早い木であるから、東京附近でも育つ。果実は風呂に入れると湯浴材料になる。一日二〜五g煎じた汁を腹痛下痢にのむ。また殺菌力あり、結核に効ありと最近いわれている。キハダの粉末はオウレンのよう傷、ただれに散布してよし、また火傷にゴマ油とまぜ装布する。打撲にはウドン粉と酢にて練り、貼付する。内用外用ともに応用範囲広汎である。