一名、アララギ。深山に自生する常縁喬木で、高さは二十m、、直径六十cm、周囲一・五〜一・八mに達する。雌雄異株は枝立ちがよく雌株は枝が横にひろがる。葉はみじかい柄をつけた針形で互生し、イヌガヤに似ているが、小型で幾らかい。下面は淡黄緑色、上面は深緑で光沢がある。花期は三〜四月で雄花は枝?の葉の腋にむらがり出で下方に向い、雌花は腋出している短かい枝の上に着生する。果実は卵球形、滑沢で九〜十月に成熟する。初め緑色、後に紅色となる。種子は卵形で先端が尖がり偈色、外皮が堅い。直径約六mm、生育極めて遅い木で、寒地の植物だ。北海道ではオンコといい、また、ヤマスオウという。一種、葉の細かいもの、これをキャラボクという。これは根元から分岐して枝が四方に出る。庭木としてよいものだ。材は堅い良い木だから家具や諸器具に用いられ、神主の持つシャクはこの木で造られる。岐阜高山産のものも有名である。
「薬用部と利用法」 民間薬として木部およびその皮、枝など糖尿病に用いられたが、薬が一番よい。木部をキザミ、乾燥したもの、およそ三〜五g煎じてその汁を一日三回に分服する。葉なえらば干したものおよそ十五〜二十g、これも煎じてのむとよい。ただし、相当長くつつ゛けること。 |