■イカリソウ(めぎ科)
 漢名は淫羊霍という。山路や山の裾など、その路節などに自生する多年草で、茎は三十〜五十cmに達する。一つの根から数茎が出る。葉は長い心臓形。まわりに細かい鋸歯あり、三回三出の複葉だから三つの枝に九つの葉がある。よって三枝九葉草という。春から初夏にかけて、いかりの形の花が開く。その色h淡紅、淡紫、白などある。この草は種類が多いが大体、ムラサキイカリソウ、ホザキ、トキワ、梅花の四うに区別している。

「薬用部と利用法」
 葉をおもに使用する。五から六月頃、葉をとり蔭干しとする。これを一回に二〜三g煎じて服用すると精力剤となるから陰痿、強精剤に用いる。粉末としたのは一日三〜五gでよい。根は強心薬となる(注意、梅花イカリソウは盆裁などにあるが薬用にはしない)。葉をよく乾燥し洋脂(ラノリン)をうすく塗ってそれを炙る。そうしたものを四十gほどきざみ、一リットルの酒につけて十日程おき、その酒をのむと大変よい精力剤になる。昔の本に「陰痿に効く。気力を益し、節骨を堅くし、腰膝を暖め、茎中の寒を除く」大補壮陽の薬とある。